page19 L A W E R 不貞についての法的知識 1 不貞とは 不貞は婚姻関係にある者(A)が配偶者(B)とは 別の異性(C)と性的関係を有することを言います。 但し、注意しなくてはならないのは、 性的関係を有しなければ問題ないとは言えない、ということです。 AがCに対して愛情表現を示すためのメールを繰り返し送信したケースで 裁判所は性的関係までは認められないとしつつ、 AにBに対する慰謝料の支払いを命じました。 また、このようなことをすると実際は性的関係がなくても、 性的関係があったと認定される危険性もあります。 2 婚姻関係破綻と不貞 ABの婚姻関係が破綻していれば、ACが不貞をしても違法ではなく、 損害賠償の対象ではないとするのが判例法理です。 しかし、婚姻関係破綻については、裁判所はかなり厳格な認定をします。 単に、長期間セックスレスである、家庭内別居状態である、離婚してくれと言われた、 という程度では婚姻関係破綻は認められることは難しいです。 長期間別居して相互の交流がない状態でなければ、 婚姻破綻とは認定されないと考えるのが無難です。 3 不貞の証拠 不貞の証拠を入手することはなかなか難しく、 過去においては高額な費用を支払って興信所に依頼することがよくありました。 「女の勘」は鋭いものであり、妻は夫が不貞をしていることを感じ取ることが多く、 その場合に問いつめられると夫は 「男が不貞して何が悪い。こうなったのはお前が悪い」 と開き直ることがしばしばあります。男はよくも悪くも正直なものです。 この点、女性は狡猾であり、夫から不貞を指摘されても 平然としらばっくれるのであり、証拠がなければ不貞は認定できません。 最近は携帯電話機の通話履歴、メールで不貞が発覚するケースが 急増しています。特に夫が入浴中に妻が携帯電話を盗み見て 不貞が発覚する例が典型的です。 ここでも女性は用意周到であり、必ず不貞のメールはただちに消去するし、 携帯電話機を使用していない時はロックします。 4 不貞の慰謝料 不貞した芸能人が多額の慰謝料を支払った事例を聞きますが、 実際には不貞の慰謝料は皆さんが思っているよりも低額であり、 CがAの子を妊娠した場合でもなければ150万円から200万円程度であり、 しかも、近年は低額になってきています。 興信所に高額な費用を払ってもそれほど得にはなりません。 特に、Cが既婚者の場合にはAはCの配偶者(D)から請求される危険性があり、 そうなると、CがBに慰謝料を支払っても、AはDに慰謝料を支払うことになり、 結局、何のための訴訟だったのか、ということにもなりかねません。 5 最後に 他にも不貞に関する興味深い(?)話しは多々ありますが、 紙面の関係でここまでにします。 不貞についての法的知識につき誤解が見受けられ、 不幸にして不貞が配偶者にばれた人は是非、弁護士に相談しましょう。 以上 公認会計士・弁護士 加藤哲夫 談
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