R-magazine-vol8

D r . K A W A H A R A page20 外務省辞職~「医」を届ける~ ハルツーム大学医学部の先生と訪問した東部に位置するガダーレフ州では、マラリアなどの感染症が蔓延 していた。顧みられない熱帯病の一つとされてされ致死率の高いリーシュマニア症があり、医療環境が大 変厳しい状況であった。それゆえ、最初の医療支援はガダーレフ州に決めた。 スーダンでの医師免許を取得し診療ができる体制にした。 診療の前、その地域の長(おさ)に挨拶に行く。 スーダンの人たちは心優しい。客人である私たちを温かく迎えてくれ、灼熱 の地なので喉が渇いたであろうと水が出される。この気持ちはとても嬉しい のだが、目の前にあるのは濁った水である。これを飲むべきか悩むが、迷う表 情を表に出したくない。素早く、グーッと飲み干し、笑顔で「ありがとうござい ました」と言う。すると彼らも笑顔になる。 NAOYUKI KAWAHARA ガダーレフ州保健省の大臣と偶然に会うことになる。 大臣からは、ある村で苦労しているので、そこに入って欲しいと 言われる。シェリフ・ハサバッラ村である。村長のハサンを紹介される。 ロバに牽引された台車にベッドを括り付けて診療にやってくる。 たまに重症患者がいて、病院への搬送が必要となる。 さすがにロバで 30 キロ先の病院へ行かすことはできない。 日本から中古の救急車を持ってきた。 診療が終わると、スーダンの人々は 私たちに食事を用意してくれる。 彼らのおもてなしの気持ちを感じてか、 すごく美味しい。これでコミュニティの 中に入っていけたのである。 Dr.KAWAHARA

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