R-magazine-vol8

D r . K A W A H A R A ムスタファという優秀なスーダン人の医療スタッフがチームに加わった。彼と 24 時間体制での診療を継続して いった。ムスタファは、英語はできないが、彼の人を思いやる優しい気持ちが言語の壁を超えた。 我々は厳しい環境での診療であったが心を一つにして村人の診療を進めていった。 我々は日本人であり未来永劫にここで医療診療を進めていくことはできない。 スーダンの人たちを育てることが重要ではと考え始めた。 そこで、この地域での学習がどうなっているのか見てみた。 コーラン学校があり、男子はあるが女子の小学校は完備されてない。 そこで女子が通える小学校を作ることにした。我々ではなく村が日本 大使館に学校建設の申請をすることにした。もちろん申請書は我々で 作成した。その申請が採択され、調印式が村で行われた。日本の大使 が 500 キロも離れたシェリフ・ハサバッラ村に来てくれたのである。 村人たちと一緒に日の丸を振って歓迎した。 昭和40年 福岡県北九州市生まれ 九州大学医学部卒、九州大学医学部附属病院、広島日赤 原爆病院で研修。1997 年同大学大学院(外科学)修了。 1998 年在タンザニア日本大使館 ( 二等書記官兼医務官 )、 2001 年在英国日本大使館 ( 一等書記官兼医務官 )、 2002 年在スーダン日本大使館 ( 一等書記官兼医務官 )、 2005 年外務省辞職、2006 年 NPO 法人ロシナンテス設 立、理事長に就任しスーダンでの医療支援活動を開始。 2011 年から 15 年まで東日本大震災の支援を宮城県名取 市、岩沼市、亘理町などで行う。 2019 年からザンビアで医療支援活動開始。 九州大学客員教授、長崎大学客員教授、熊本大学薬学部 臨床教授。高校大学とラグビー部に所属。 さて、診療をしていると下痢の患者が多い。原因を突き詰めていく と水である。安全な水を提供することが一番の医療であると考え、 井戸を掘り給水所を設置した。また、お母さんと子供の命を守る母 子保健がアフリカの地域医療では大事である。村の中から助産師の 育成をしていった。 医療、水、教育、人材育成と全てを網羅しないといけないと感じた。 「医」を届けるとは、まさに総合的な支援であり、我々の目指すものはスーダンの、 アフリカの発展する地域モデル作ることであると強く思った。 page21 給水所設置 女子も通える建設された小学校 助産師の育成 小学校の調印式 川 原 尚 行

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